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子ども地球市民会議のやり方・ピアレビュー

子ども地球市民会議のやり方

子ども達と「地球市民会議とは何か」という話をした時に、「一人一人が地球と向かい合っている状態」というコトバを返してくれました。その通りです。私たち一人一人が地球市民として地球と共にある、という感覚が必要なのです。大人であれ子どもであれ。何が良いか悪いか、どれかに決めるということを目的にするのではなく、一人一人の参加者が、その会議に出て、地球市民としての感覚を自分の内側で育て、自分がどう行動するかを考えられるようになることが目的。だからこの会議は、水平の考え方で行っています。
通常、「会議」という名前を見れば、ある議を論じてみんなの結論を出す、というイメージを持つことでしょう。結論として決定するために、まとめたり、削ったり、絞ったりしながら、上へ上へと送っていく、縦構造で進められていく会議です。でも、この子ども地球市民会議の目的は、何か一つの結論を出すことではない。だから。結論が一つにまとまらなくても、自分が多様な存在の一人としてその議としっかりと付き合い、そしてまた、ある議に対して誰もが同じように対峙をしていくことができれば問題ない。そんな水平構造の会議にしているのです。
水平にする方法。その一つが、「ピアレビュー」です。

ピアレビューとは

会議が会議として成立するように、伝えたり聴いたり「やり取り」をするのは、大人にとっても大変なこと。大変なのは、参加者一人一人の文脈が同時にそこに存在しているから。子ども達は、自分の考えや想いを伝えるチカラはもっていても、この「同時に」というチカラを求められた時に、手も足もでなくなることがあります。このピアレビューという方法は、その「同時に」という制約を、外したものです。

下記の流れは、ピアレビューのベーシックなやり方です。組み合わせ方によって、さまざまなアレンジが可能です。

1. あるテーマで記述する

まず私たちは、テーマに従って、自分の考えや想いを文章に記述します。もちろんこの時の記述は、まだまだ粗削りなもの。子ども達自身の成長できる幅や隙間を、たくさん含んでいるものです。

2. 仲間の記述を読んで赤・緑コメントを書く

まず自分の想いを書くことで「伝える」準備をしたら、次は「聴く」。仲間の記述を読みます。同じテーマで考えているのに、そこに違う視点や違う感情や違う考え方があります。あらためてそれを、しっかりと受けとめます。自分とは違うものを受けとめるので、自分の中に様々な反応が生まれます。その反応を赤・緑の2つの色に分類して、コメントをしていきます。時には、何人もの仲間の記述を読み、赤と緑のコメントを書きます。

赤・緑コメント例
(画像クリックで拡大します)
赤・緑コメント例
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3. 青コメント(赤・緑コメントへの反応)を書く

さあ、やり取りは次の段階に進みます。自分の意見に対して、どんな反応があったのか。仲間の赤や緑のコメントがたくさん書かれたものが、自分の手元に戻ってきます。そのコメントを読み、「何を言っているんだろう」「なぜ言われているんだろう」を考えながら、自分の内側に湧きあがってきたことを青コメントとして書きます。

青コメント例
(画像クリックで拡大します)
青コメント例
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4. 磨かれた自分がダイヤモンド記述を書く

この段階で、自分の内側はずいぶん磨かれたはずです。一人一人がダイヤモンド。自分というダイヤモンドが仲間を磨き、仲間というダイヤモンドが自分を磨いてくれた。その、磨かれて変化した自分があらためてテーマを考え、記述をする。これが「ダイヤモンド記述」です。

≪記述→赤・緑コメント→青コメント→ダイヤモンド記述≫という動きの中で、「伝える」と「聴く」を順番に、そして一歩一歩を確実に、子ども達は「やり取り」をしていく。だから、自分が自分を育て、仲間と育て合う会議になるのです。


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